ポーランドへ行った子どもたちポーランドへ行った子どもたち
ポーランドへ行った子どもたち

ポーランドへ行った子どもたち

分断国家、飢餓と戦争、さまよい続ける子どもたちへ-いまも愛していますと、伝えてほしい

韓国で異例の動員から大きな話題に。脱北者の少女とたどる秘密裏に移送された朝鮮戦争の戦災孤児たちの真実

2018 釜山国際映画祭、2018 金大中ノーベル平和映画賞、2019 春川映画祭審査委員特別賞、2019 ソウル国際サラン(愛)映画祭基督映画人賞、2020 大阪アジアン映画祭、2021 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル
監督:チュ・サンミ
出演:チュ・サンミ、イ・ソン
ヨランタ・クリソヴァタ、ヨゼフ・ボロヴィエツ、ブロニスワフ・コモロフスキ(ポーランド元大統領)
イ・へソン(ヴロツワフ大学韓国語科 教授)、チョン・フンボ(ソウル大学言論情報学科 教授)
プロデューサー:チェ・スウン音楽:キム・ミョンジョン
制作:コンテンツパンダ配給:太秦
協力:大阪アジアン映画祭、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル
2018|DCP|韓国|カラー|78分
英題:Children Gone to Poland
2022年 6月18日(土)より
ポレポレ東中野ほか全国順次公開

INTRODUCTION

映画祭受賞ほか、各界が絶讃したドキュメンタリーが
遂に日本で公開

いまも分断を生むこの世界で
彷徨う子どもたちの〈傷と愛〉をめぐる78分間

“ポーランドへ行った子どもたち”とは、1950年代、北朝鮮から秘密裏にポーランドへ送られた朝鮮戦争の戦災孤児のことを言う。韓国でも知られていない歴史の闇に光を当てたのは、ホン・サンス監督作への出演など俳優としても注目を集めるチュ・サンミ。取材に同行したのは、10代の若さで命がけの脱北を経験した大学生のイ・ソン。現代から過去へ、朝鮮半島からポーランドへ。孤児たちの悲痛な分断の記憶を巡る旅先で、彼女たちは異国の子どもたちを我が子のように育てた教師たちの記録を知る――。いまもなお国家間の凄惨な争いが続くこの世界で、本作は抗えない傷を負う子どもたちの姿に近づき、消失した“愛”の再生の可能性を問いかける。

“すべての子どもたちが私の子どものように見えました”
映画監督とポーランド人教師の眼差しが、
1500人の子どもたちと、そして一人の少女の心をやさしく包む

監督のチュ・サンミは、出産後に子どもへの愛着や不安のために産後うつを経験する。そんな中、彼女は偶然目にした北朝鮮の孤児たちの映像をきっかけに、秘密裏にポーランドへ強制移送された戦災孤児たちの記録を知る。1950年代、自国も厳しい情勢下に異国の孤児たちを我が子のように受け入れたポーランド人教師たちと、彼らを「ママ」「パパ」と慕う朝鮮の子どもたちがいた――。チュ・サンミは、脱北の過去を持つ大学生イ・ソンとともにポーランドを訪問し、いまでも子どもたちを懐かしく思い涙を流す教師たちと出会う。あのとき彼らは何を思ったのか。その後朝鮮に送り戻された孤児たちはどうなったのか。そして旅の途中、イ・ソンは泣きながらいまも北朝鮮にいる家族のことを語りはじめる。

STAFF

監督チュ・サンミ

CHOO Sang-mi

1972年ソウル生まれ。父は俳優のチュ・ソンウン。
1994年、俳優としてデビュー。1996年、百想芸術大賞の新人演技賞(演劇部門)受賞。ハン・ソッキュ、チョン・ドヨンと共演した『接続 ザ・コンタクト』(1997)や、ホン・サンス監督の『気まぐれな唇』(2002)、イ・ビョンホン、チェ・ジウと共演した『誰にでも秘密がある』(2004)などの映画で注目を集める。KBS演技大賞優秀演技賞を受賞した『黄色いハンカチ』(2003)をはじめ数々のドラマにも出演したが、『シティホール』(2009)以後、出産・育児のため演技を休止。ドラマ『トレーサー』(2022)で13年ぶりにドラマに復帰した。
演技を休止している間、中央大学大学院映画制作科に進み、映画演出課程を修了(2013)。短編映画『扮装室』(2010)、『影響の下の女』(2013)などの演出を経て、ドキュメンタリー映画『ポーランドへ行った子どもたち』(2018)の監督を務める。
『ポーランドへ行った子どもたち』は2018年の釜山国際映画祭で上映後、韓国で劇場公開され、観客数5万人を超えるヒットとなった。2018年、金大中ノーベル平和映画賞、2019年、春川映画祭審査委員特別賞、ソウル国際サラン(愛)映画祭基督映画人賞受賞。日本では2020年の大阪アジアン映画祭、2021年の座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルで上映された。
Boaz Film代表、DMZ国際ドキュメンタリー映画祭理事など。2021年の釜山国際映画祭では「今年の俳優賞」審査委員を務めた。

監督メッセージ

こんにちは、ドキュメンタリー映画『ポーランドへ行った子どもたち』を監督したチュ・サンミです。長く待った甲斐あり、東京のポレポレ東中野で公開できることになり、とてもうれしく思っています。
1950年に勃発した朝鮮戦争により親を失い、傷を負った戦争孤児たちの話は、北東アジアの国々と歴史的に関わりのある話でもあります。 現在進行形の傷、ウクライナでつらい思いをしている子どもたちもまた、しらばらくすれば人々の記憶から消えてしまうかもしれませんが、共通する話だと思います。
日本の観客の皆さんも、韓国・北朝鮮の隣国の市民として、またウクライナ問題が起こっている同時代の世界市民として、『ポーランドへ行った子どもたち』を見て、「傷の連帯」を感じてもらえればと願います。
世界のどこかで今も起こっている、子どもたちに向けられたすべての「暴力」がなくなることを祈っています。

COMMENTS

それぞれの国に生まれて、それぞれの国の事情は違うけども、すべての子どもたちに必要なのは愛なんだ。
それは国が違っても、子どもに愛を与えることをこの映画は証明してくれました。
子ども達が必要としているのは戦争ではない、争いでもない、愛なんです。
この映画を見て、改めて戦争は絶対にダメなことを知りました。

はるな愛

タレント

ポーランドと朝鮮――その接点さえ浮かばなかった私にとって、本作で巡る過去への旅路は、人が持ち得る「恩愛」の尊さに触れる旅でもあった。
国家や文化よりずっと深いところで、異なる人と人は恩愛を育める事実は、今もなお無防備な子ども達に向けられる暴力とは対極にある人間性の尊さ。
歴史の中で静かに消えようとしていた真実に本作で触れられた事が、当時の子どもたちにとってせめてもの慰めになれば幸い。

八木早希

フリーアナウンサー

本作からは、さまざまな対比が読み取られる。タイトルは、1953年の孤児たちだけでなく2016年のチュ・サンミとイ・ソンの二人を指しているだろう。朝鮮半島(韓国と北朝鮮)とドイツ(西ドイツと東ドイツ)、孤児たちと脱北者イ・ソン、ポーランド人教師の孤児への愛とチュ・サンミの息子への愛、ユダヤ人と朝鮮人の母子愛……これは北朝鮮によるだけでなく、歴史上たびたび繰り返されてきた拉致という問題(現在は、ロシア軍によるウクライナ人拉致が報道されている)の本質について普遍的かつ哲学的に考察するための貴重な材料となる映画だ。

久山宏一

ポーランド文化研究

ポーランド人の教師たちは、北朝鮮に引き上げていく子どもたちの行く末が、おそらく安寧でないことを予見していただろう。さらに言えば、90年代以降の大飢饉、脱北難民の発生など、北朝鮮のその後を伝えるニュースが民主化後のポーランドでも流れたはずである。元教師たちが見せた嗚咽は、「傷の連帯」意識から生じた強い哀れみが再び甦り、こぼれた瞬間だったのではないか。ロシアの侵略を受けるウクライナへの強い同情が、東中欧の旧社会主義国の人々に現れているのも、ソ連の支配を受けた「傷の連帯」意識によるところが大なのだ。

石丸次郎

ジャーナリスト/アジアプレス

傷、愛、命を強く感じる映画だった。
パパ、ママと呼ばれた教師たちが子どもたちへの愛情を語るとき、時折見せる表情の悲しさに胸が詰まった。
心に傷を負う若者の涙。救いは彼らが今生きているということ。未来を見ているということ。
今も時代や国に翻弄されている子どもたちがいる。
未だ過去になりきれない戦災孤児の歴史が心底やるせない。

肘井ミカ

俳優

朝鮮戦争当時、死と隣り合わせの過酷な状況で生きていた戦災孤児たちが、ポーランドに送られて孤児院で手厚くケアされる。その際、子どもたちにとって外国人である大人と愛着は育まれていたのだろうか。個々の子どもの様子はあまり語られなかったので不明なのだけど、北朝鮮に戻ってからの文通でポーランドに戻りたいと語る。確かな信頼が築かれていたようで、ほっとした。その後、子どもたちはどう成長したのだろう。

吉泉知彦

漫画家

死よりも辛い記憶を消すことができたら楽になれるのだろうか。
愛さえなければ、これほど苦しまずにいられたかもしれない。
癒えることのない傷と共に生きる人々の姿は痛々しく、やるせない愛に満ちている。
決して過去の話でも他人事でもない、愚かな戦争に翻弄された(される)人々の話を忘れないでいたい。

キニマンス塚本ニキ

ラジオパーソナリティ・翻訳家

1950年代、北朝鮮によって秘密裏にポーランドへ移送された朝鮮戦争孤児1500人と、実親のように彼らを育てたポーランド人教師達を追う、感涙の一遍。監督は脱北者の大学生と一緒にポーランドを訪れ、“再生される愛”を謳うように活写する。

中川 敬

ミュージシャン/ソウル・フラワー・ユニオン

単純に『ポーランドへ行った子どもたち』を描くのではない。そこに映画作家としてのチュ・サンミが、さらに彼女が俳優として起用しようとしている脱北大学生が、被写体として加わる。このスリリングで多層的な構造が、本作に並みのドキュメンタリーでは味わえない自由闊達で、モダンで、クリエイティブな息吹をもたらした。

暉峻創三

映画評論家

朝鮮戦争で生まれた孤児たちが北朝鮮によってポーランドに送られた事実を私は知らなかった。俳優でもあるチュ・サンミ監督と脱北者のイ・ソンが彼らの痕跡を追う旅の記録。2021年の座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルの特集テーマを「“時間を記録する」に決めて、歴史的な“ある瞬間”を切り取った作品を探していた。
歴史の事実の重さに向き合いながら、若い二人が自らの人生を顧みていく姿に感銘を受け、この作品の上映を決めた。

山崎 裕

カメラマン/座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル プログラムディレクター

順不同・敬称略

TRAILER

THEATER

2022年 6月18日(土)より
ポレポレ東中野ほか全国順次公開
全国共通特別鑑賞券
1,500円(税込)発売中

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